走行ロボットの安全管理とリスク回避
技術の発展や労働者不足の問題などを背景とし、あらゆる業界でDX化が進められています。このページでは物流において導入が進められている走行ロボット・AMRについて、その安全対策や安全機能などを解説・紹介していきます。現場における安全対策事例も紹介しますので、走行ロボット・AMRの導入を検討している方や安全対策について学んでおきたい方はぜひチェックしておいて下さい。
安全対策をするべき理由
DXに関するソリューションの導入においては効率化や省人化などといった目的がありますが、その大前提として押さえておかなければならないのは「安全性」です。
どれだけ効率的に動くロボットであったとしても、その操作を行うスタッフや周辺で作業する従業員に危険が伴うようではまるで意味がありません。どれだけ安全に効率化を実現できるかがソリューション導入における最優先事項になるのです。
実際に労働安全衛生法をはじめとした各関連法規においても安全にロボットシステムを運用するために気を付けなければいけない点が義務として定められていますので、企業としては安全対策に留意をしなければいけません。
走行ロボットの事故による責任
現場などにおいて事故が発生した場合、その発生原因や安全対策を行っていたかどうかによって責任の所在が変わります。ロボットを操縦して事故が起こった場合、基本的に責任の所在は製造者ではなく操縦者になります。
しかしながら自律して移動するロボットが事故を起こした場合、法的に責任を負うべきものが製造者なのか運用者なのかは明確に定められておらず、事故の発生要因や発生時の状況などを踏まえてしっかり検証する必要があるなど課題が山積です。
安全対策のポイント
走行ロボット・AMRの運用において安全対策を考える場合、さまざまなポイントを押さえておく必要があります。業界的な安全規格を知っておく事に加え、ロボットそのものにある安全対策機能などを事前に把握しておきましょう。
必要な安全規格
走行ロボット・AMRにおいては、国際標準化機構の定めたロボットシステムに関する安全要求事項を知っておく必要があります。
内容としては「教示等」「運転中の危険の防止」「検査等」「点検」の4つの作業に分けて必要な事項が定められており、ISO10218-1やISO10218-2、ISO/TS15066が主に該当するものとなります。
これらの規格についてきちんと理解を深めておき、必要となる安全対策を施すように努めましょう。
安全対策となる機能
走行ロボット・AMRにはさまざまな機能が搭載されていますが、中には安全対策となる機能も存在します。どのような機能があるのかを知っておく事により、安全な運用ができるようになるでしょう。
代表的な安全機能の一つとしては「人体検知」があります。ロボットには障害物を検知する機能が備わっていることが基本となりますが、その障害物への反応タイミングは速度によって決まります。ロボットの移動速度が速ければ速いほど保護フィールドは広くなり、他の作業員や障害物を検知するとロボットは速やかに停止します。
他にもコミュニケーション機能として音声認識が備わっていることもあります。音声指示によって該当するポイントまで移動することが可能ですが、移動についてはリンクしているスマートフォンでポイントを設定するというパターンも存在します。
さらには緊急停止ボタンやシグナルライトなどの安全対策機能が存在し、これらの機能をうまく利用することにより、万が一の大事故を未然に防ぐことが可能になります。
現場における安全対策事例
スペイン・バルセロナ近郊の町ヴァリカススにある製造工場における事例では、屋内搬送アプリケーションの中核要素として走行ロボット・AMRを導入しました。自社ニーズに十分な積載量を備えており、特別に開発されたソリューションです。
入念に計画された対策を通じて安全性を優先し、高度な機能を活用することにより企業としての業務目標達成だけではなく、すべとの人にとって安全な職場環境を作り出すことに成功しています。