走行ロボットの基礎知識
少子高齢化や物流における需要増加など、さまざまな外的要因により労働力不足が叫ばれています。この課題に対応すべく各企業ではあらゆるソリューション・施策を導入していますが、ここでは中でも走行ロボットについて解説します。安全管理やリスク回避、導入に向けた準備・教育も紹介しますので、ぜひチェックして下さい。
走行ロボットの安全管理とリスク回避
走行ロボットは効率化・省人化を実現するために導入されるソリューションですが、最も注意すべきは安全対策です。安全な運用を実現するためには代表的な法令や規格などを押さえておく必要がありますが、以下のようなものが広く知られています。
- 労働安全衛生規則
- ISO10218-1
- ISO10218-2
- ISO/TS15066
労働安全衛生規則は労働安全衛生法により定められた措置を具体化したルールであり、作業ごとに必要な事項が定められています。残りの3つの規格に関しては国際標準化機構ISOが定めたロボットシステムに関する安全要求事項であり、これらを知っておくことにより安全管理を強化することが可能になるでしょう。さらにISOではリスクアセスメントの論理的な実行、及びリスクを低減するための方策も定めています。
走行ロボット導入のための準備と教育
走行ロボットの導入に際してはしっかりと事前準備を行う必要があり、導入後の運用を安全かつ効率的に行うためには作業員などに対して教育を行う必要もあります。中でも特に押さえておきたいキーワードが「ロックアウト」「ダグアウト」です。
ロックアウトは機械や設備を点検・メンテナンスする際にブレーカーやスイッチ・バルブなどの動力源を遮断しデバイスの装着・施錠を行うことで、ダグアウトはロックアウトを行った箇所に取り付ける警告タグの一種です。
安全な導入・運用を実現するためには、このロックアウト・ダグアウトに関しては行うべき手順やステップに関する国際規格が存在しますので、その流れも含めて作業員にきちんと指導・教育するようにしましょう。
走行ロボットのメンテナンスとアフターサービス
走行ロボットのようなロボットシステムを運用している場合、作業開始前の点検と定期点検が労働安全衛生法で義務付けられています。
点検や検査を行って以上が発見された場合、補修を行うとともにその記録は3年間保存していなければいけません。
さらに厚生労働省が定める「産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針」においては、産業ロボットを運用するうえにおいて主要部分のボルトのゆるみの有無や可動部分の潤滑状態その他可動部分に係る異常の有無など、全部で9項目にも亘って定期点検における基本指針が具体的に挙げられています。
定期点検を行わない場合、故障リスクが高まることに加え、不具合によって作業品質の低下に繋がる恐れもあります。
物流に走行ロボットを導入するメリット・デメリット
走行ロボットの主なメリットは、倉庫や建築などの現場における作業の効率化。人間とは異なり、基本的にはミス発生のリスクもないため、精度の高い運搬作業も期待できます。何より、人間に代わってロボットがモノを移動してくれることから、その分だけ人件費削減にもつながります。
ただし、走行ロボットの導入や維持には安くないコストがかかることも理解しておかなければなりません。特に導入時には、数百万円の初期費用がかかることもあるので、得られるメリットとのバランスを考え、専門業者に相談しながら慎重に導入の検討をしましょう。
自律走行ロボットと自動追従ロボットの違いは?
自動走行ロボットには、「自律走行ロボット」と「自動追従ロボット」の2種類があります。自律走行ロボットとは、磁気テープなどのガイドやカメラ、センサー、地図機能などをもとに、単体で自動走行するロボット。自動追従ロボットとは、人や台車などの指定した対象物の動きをもとに、追従する形で自動走行するロボットです。
同じ自動走行ロボットでも、それぞれは走行システムが違うため、導入を検討する際には自社の現場に即したタイプを選ぶことが大事。専門業者に現場をチェックしてもらい、適切な自動走行ロボットを提案してもらいましょう。