走行ロボット導入のための準備と教育
我が国日本においては少子高齢化による労働人口の減少や働き方改革に伴う残業時間の規制など、さまざまな外的要因により労働力不足が多くの企業で課題となっています。
この問題を解決するためにあらゆるIT技術を投入し、DX化に取り組む企業が増えていますが、ここでは走行ロボット・AMRの導入について、導入のための準備や必要な教育などを解説します。
向いている現場や必要スペース
走行ロボット・AMRは搭載されたセンサーやカメラから、ロボット自身が周辺情報を検知しながら人や障害物を避けて走行するロボットシステムです。人と一緒に働くために開発されたロボットとして「協働型搬送ロボット」などとも言われています。
ロボットという言葉だけを聞くと規模の大きな話に聞こえますが、AMRの特徴は「小規模倉庫でもすぐ導入できる」という点です。
よく似たロボットに「AGV」がありますが、こちらは倉庫内に磁気テープや二次元バーコード・レーザーなどの誘導体が必要になりますので倉庫内のレイアウトをしっかりと作り込まなければいけませんが、AMRはそういった準備が不要なため導入しやすくなっています。
もちろんながらロボットが走行するためのスペースを確保する必要はありますが、障害物や他の作業者を自動で検知するシステムが備わっているため、整理整頓をきちんと行っておけばスムーズに運用することができるでしょう。
作業フローの明確化
導入したソリューションをうまく使いこなし、効果を最大限得るためには周辺で作業する従業員も含めてどういった形で運用するのか・作業をするのかのフローを明確にしておく必要があります。
特にAMRは作業者とロボットが協働することを前提として作られているロボットですので、きちんと役割分担をしておかなければかえって二度手間になってしまうようなシーンも発生してしまうでしょう。
ただピッキングして荷物を運ぶ、というだけでなく人とどう関わるのか・協働するのかが非常に重要なのです。
たとえば作業者の移動距離が大幅に減ったとしても、ロボットが到着するまでの待ち時間にやることがなく手待ち時間が発生してしまうのであればわざわざコストをかけて導入する意味が全くありません。
どのように役割分担して運用すれば導入効果を最大化することができるかを事前に検討しておき、どこまでを作業者が担当し、どこまでをロボットに任せるのかを明確にするようにしましょう。
緊急時用のマニュアル作成
人が作業する時においても作業マニュアルやトラブルマニュアルを作成することは一般的だと思いますが、ロボットを使う場合にも同様に緊急時におけるマニュアルを作成しておく必要があります。
機械である以上故障が発生するリスクはゼロではありませんし、何らかの操作ミスなどにより思っているのと違う挙動をする可能性もあります。
突発的にそういったトラブルが発生した場合、あわてて正しい対応ができないと現場が混乱してしまいます。特に過去のトラブル事例などがある場合にはきちんとマニュアル化して共有するようにしましょう。
せっかく導入したAMRはもちろんその運用・稼働を前提に作業フローが設定されますので、1台使えなくなるだけで大幅に業務効率が落ちてしまう恐れがあります。
もしロボットの運用が止まった場合に作業をどう進めるか、という場面までを見据えてマニュアル作成を行っておくとよいでしょう。また、そういった場面におけるサポート体制も確認・検討しておきましょう。